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::: 高津教会 説 教 :::


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Name   fujimoto
Subject   「この一時でも」――サムソンの祈り(シリーズ18)  
「この一時でも」――サムソンの祈り
 
 士師記16:15−31

 サムソンとデリラは、映画にもなりましたし、知っている人は多いことでしょう。ヒーローになれる要素は、全部持っていたのがサムソンです。強い、女性に弱い、そして英雄的な死を遂げる。サムソンの腕力は並はずれていました。吠えたけりながら向かってくるライオンを引き裂くのです。彼は、いつも素手で戦います。ある時は、ろばの顎の骨を武器にして、千人の敵を打ち負かしたこともあります。
 強いサムソンの背景には、いつも神の恵みがありました。小さな頃から神に捧げたもとのして育てられました。神へのナジル人と言います。生まれたときから、神の恵みに育てられたしるしとして、一度も髪を切りませんでした。成長したサムソンは、イスラエルの勇士となります。彼は、敵のペリシテと戦って、自分の国を守ってきた英雄です。
 しかし、この強いサムソンにはアキレス腱がありました。彼の弱点、それは女性です。
一六・一「サムソンは、ガザへ行ったとき、そこでひとりの遊女を見つけ、彼女のところにはいった。」
一六・四「その後、サムソンはソレクの谷にいるひとりの女を愛した。彼女の名はデリラといった。」
 ガザもソレクも、イスラエルとペリシテの境界の町々でした。ここからが悲劇のはじまりでした。デリラの方は、サムソンを愛したわけではありません。彼のことを気にもかけていませんでした。ペリシテの人々は、デリラを使って、サムソンの力の秘訣を聞きだそうとします。三回聞き出して、三回は、サムソンはうそを教える。しかしとうとう四回目に、サムソンは真実を明かします。
 一六・一七「それで、ついにサムソンは、自分の心をみな彼女に明かして言った。『私の頭には、かみそりが当てられたことがない。私は母の胎内にいるときから、神へのナジル人だからだ。もし私の髪の毛がそり落とされたら、私の力は私から去り、私は弱くなり、普通の人のようになろう。』」
 力の秘密は、私が神への聖別された、特別なナジル人だからだ。そして、ナジル人の象徴が、この一度も剃刀のはいったことがない髪の毛だ、と。デリラは、サムソンを自分の膝の上で眠らせ、一人を呼んできて、髪の毛を剃り落としました。そうして、待ちかまえていたペリシテ人は、彼を捕らえて連れて行きます。両目をえぐり出して、青銅の足かせを付けて、サムソンは、牢の中に閉じこめ、石臼に縛り付けて、引かせます。
 何度読んでも味わい深いサムソンの物語ですが、今日はここから三つのポイントをごらんいただき、その最後にサムソンの祈りを考えてみましょう。

            ●暗い世界への引きずり込まれるサムソンの姿

 第一に、幼い頃のサムソンは純粋だったでしょう。純粋に育てられながら、徐々に罪の世界へ引きずり込まれる。悪魔は、弱い部分をねらって、罠を仕掛けます。その弱い部分が情欲でした。腕力の方は鍛えられているのに、心の方が鍛えられていないのです。自制心がありません。ライオンを引き裂くほどの力がありながら、自分の情欲に引き裂かれます。
 理想的な生き方ではありませんが、そこかしこでつまずく彼に神はまだ力を授けておられます。しかし、敵に秘密を明かしたとき、神の力は彼を去っていきました。
  サムソンが「自分の心をみな彼女に明かした」という独特な表現が、一七節に一回、一八節に二回、合計三回繰り返されています。秘密というのは、彼の心に秘めた聖なる部分のことでした。サムソンが誘惑に落ちて罪を犯したというだけではないでしょう。サムソンは、何の信仰もない、自分を利用しているだけのデリラに、心の隅まで全部さらけ出してしまいました。彼はこのとき、神を裏切ります。自分にここまで忍耐して恵みを注いで、育てて、力を与えてくださった神さまを裏切ったことになるのです。そこまでしたとき、主は彼から去っていかれました。

            ●神の恵みは、サムソンを離れず

 二二節に「しかし、サムソンの頭の毛はそり落とされてから、また(再び)伸び始めた」とあります。サムソンが自分の情欲に引きずられ、なおも欲に溺れていくとき、彼はとうとう力をすべて失い、奴隷となり、牢の中で臼を引く身となったのです。しかし、その中で再び神の恵みは始まっていきます。
 聖書の中で、主は再びというとき、何を思い起こすでしょうか。
 ヨナは預言者としてニネベに行けという神の声に逆らって、逃亡先の海でおぼれ、魚に飲まれ、魚の中で悔い改めに祈りをします。その後、主は再びヨナに声をかけます。
 あるいはルツ記のナオミとルツを思い出します。家族で飢饉のパレスチナを出て、モアブの異境の地で生活をするようになります。しかし、その地でナオミは夫を失い、ルツも夫を失います。憔悴しきって、モアブの地から再び、パレスチナに戻ってくると、その地は、彼らを昔追い出した飢饉の荒れ果てた状態ではなく、大麦の刈り入れの時期で、一面黄金色でした。神の恵みが戻ってくるのです。
 再びということばで、ペテロを思い出すでしょうか。彼の人生で、いくつかの失敗をしたけれども、十字架を前にして、主を否んだ、これほど強烈な失敗はありませんでした。もう一度やり直したいとどんなに願っても、時間はもとには戻りません。実に後味の悪い最後でした。すべてが終わりだと絶望の底にいたペテロは、船にのって漁に出かけます。翌朝主は、人生につまずき、信仰を裏切り、魚も捕れず疲れたペテロに、浜辺から再び声をかけます。
 主の恵みは一度去っていっても、完全に離れはしません。サムソンの髪の毛は、再び伸びていきました。時期が来たから髪が伸びたのではなく、主の恵みは、未だサムソンを離れていないことの証しでした。
  クリスチャン・ホームの子どもたちは、早い時期に洗礼を受けます。ナジル人であるかのように、聖い環境で育てられます。何がサタンの誘惑で、何が神さまに喜ばれるか、サムソンが親にたたき込まれたように、子どもたちは身につけます。やがて、自立をして、教会から離れてしまうこともあるかもしれません。信仰を親から押しつけられた気がして、自分の思う道を行きます。そして気がついてみたら、主の霊が去っていた、ということもあるでしょう。しかし、その慈しみは完全には離れていません。いや、それどころか、主の足は再び、私に近づいてこられます。

             ●サムソンの祈り

 二八節「神、主よ。どうぞ、私を心に留めてください。ああ、神よ。どうぞ、この一時でも、私を強めてください。」
 屈辱の瞬間でした。牢から連れ出されて、神殿でよたりよたりと踊らされます。敵のペリシテの歓声が聞こえます。両目はつぶされ見えませんが、人々が神を冒涜し、自分たちの作ったダゴンの像を賛美する声が聞こえます。サムソンがどんなに悔いたでしょう。悔しかったでしょう。自分のしたこと、過去の過ちが、このときほど重たく、足にくくられた青銅の足かせよりも重たく感じたでときはなかったでしょう。 このときです。彼の潰された目は、天を仰ぎました。そして、自分の過去を見ずに、主を仰いで、「主に呼ばわって叫びました。」その目を、神の哀れみに注ぎ、祈りました。
 「神、主よ。どうか私を御心に留めてください」
 英語では、「remember me」です。あの十字架の上の犯罪人も、虫の息で、イエスさまの憐れみを請いました。「あなたの御国の位にお着きになるとき、どうか私を思いだしてください」。ここと同じ、「remember me」です。
 何を今更、です。ここで、主よ私を思いだしてください、私を御心に留めてくださいと祈っても、虫が良いと言われても、今更何を言うかと叱られても仕方がないくらいです。なぜなら、サムソンの方が主を覚えず、主を忘れ、主のことを心に留めなかったのです。
 いや、サムソンだけではありません。これが士師記の時代のイスラエルの姿なのです。イスラエルの民全体が、敵が攻めてくるたびに「主よ、思い出してください」と祈り、しばらくして主を忘れ、主に心留めないという失態を繰り返してきました。サムソンの人生に、人の罪深さが象徴されているのです。すぐに主を忘れ、いつの間にか主を心に留めず、あっと言う間に自分勝手な道に走っていく私たちと同じです。
 しかしサムソンが、「この一時でも、私を強めてください。この一時でも、私を思いだしてください」と祈ったとたん、鎖のような彼の過去は、ぷつりと音を立てて切り放されました。今までの、サムソンの失態、サムソンの裏切り、サムソンのいい加減な生き様――それがあたかもなかったように、あたかも彼が未だにナジル人、きよい神の人であるかのように、神はサムソンの祈りを聞き、力を注がれたのです。これがあわれみ深い主です。

  三年前、海外に行きましたときに、年頃の娘からおみやげに香水をねだられました。香水のことはよくわかりません。サンフランシスコの免税店をぐるりと見回していたとき、「あっ、これ!」と足が止まりました。香水の名が、「リメンバー・ミー」なのです。「私のことを覚えていてね」という思いで、女性がこの香水をつけるというのでしょう。迷いもなく香りをかぐこともなく、それを買いました。娘が小さいときから、私は、聖書の中でいちばん大切な祈りは、これだからね、と自分の信念を話してきたのです。だから、それと同じタイトルの香水に思わず手が伸びたのでした。
 先日、この話と祈りをからめて『百万人の福音』にエッセイを書いたのですが、ファックスで戻ってきた校正原稿を読んでいた妻がこう尋ねました。
 「『リメンバー・ミー』。この香水、一年限定品だったでしょう。あれから、次の香水が出たのよ? その名前、想像できる?」
 「うーん。何だろう……」
 「すごく良い名前よ。『フォア・エバー・アンド・エバー』っていうのよ」
 「へーっ。それってすごいね。永遠から永遠に、か……」
 感激のネーミングです。「私を覚えて」という名前の香水から数年後に、新作で「いつまでも、いつまでも」という香水を出してくるとは!
 
 「せめて、この一時でも」と神に呼ばわったサムソンに対して、神は「永遠から永遠に覚えているよ」と答えられたことになります。「どうか、御国の位におつきになるときには、私を覚えていてください」というとっさの祈りに対して、主イエスは「まことにあなたに告げます。今日、あなたは私とともにパラダイスにいます」と答えられました。それは、一時の祈りをもって、主はこの男をとこしえに恵みによって覚えてくださったのです。

 先週、私たちの教会の最年長である横田福二郎を天国にお送りしました。追憶のことばに私はおどろいてしまいました。この入院が九一年間で最初で最後になったというのです。それほど健康に祝され、三人のお子さん、三人のお孫さん、を奥様との六三年間の結婚生活で楽しまれました。
 腸閉塞で入院され、入院中に脳に出血があったところから、肺炎となり、ご本人の強い意志で人工呼吸器はつけずに、わずか数日で天に帰られました。先週の土曜日に熱が上がり、日曜日の礼拝では熱を下げてくださいと皆で祈りました。主はその熱を下げてくださり、集まってきた家族とともに最後の一日を病室で過ごし、火曜日の朝に召されました。
 九一年の生涯でどれほど多くの恵みを受けたことでしょう。しかし、もしかしたらサムソンの生涯と同じく、最後の一日に受けた恵みは、それらにまして大きなものだったのかもしれません。子どもたちや孫たちに囲まれ、「お母さんのことは心配しないで。私たちが面倒を見るから」「天国で待っていてね。また会いますから」と次々にかかる声に、苦しい呼吸の中で「ありがとう」と答えて、「私を覚えて、この一時でも強めてください」と死の陰の谷を行く力を求めたことでしょう。
 サムソンが死に際して、証しした神の力は、サムソンが生きている間に証ししたそれよりも大きかった、のと同じように、横田兄が苦しみの中で受けた主の憐れみは、九一年の生涯の恵みにまさって、とこしえにつながる憐れみでした。  

掲示物をメールで送信。 プリントプレビュー
DATE: 2003.07.14 - 10:34
LAST UPDATE: 2003.07.14 - 10:35

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